著作、デザイン、意匠の権利は放棄していません。当HP上及び当舎製作のストーブ等のデザイン、意匠等の盗用、類似品の製作は
固くお断りいたします。

ハンドワーク  薪ストーブ 製作例 No1            


 わたしの造るストーブは、使い手の使用条件・設置条件を打ち合わせして設計・製作する完全オーダーメイドの一品製作です。 ここにあげた製作例もあくまでも参考例です。
 デザイン・大きさ・用途・構造・使用材料・製作費などは、具体的な内容にもとづいてご注文のつど打ち合わせさせていただきます。
 ◆ 製作例について 暖房面積は、実際に使用している建物での面積です。薪ストーブは、建物の構造、間取り、地域、だけでなく薪の樹種・乾燥状態や焚き方でその性能が大きく変わります。
    製作例は、ひとつの実例で、目安としてください。

                 


A 屋外吸気・暖炉兼用型ストーブ
  設置してあるのはリビング・キッチン(20畳)。建物の気密性がよくキッチンの換気扇を使うと室内の気圧 が下がり、煙突から煙が逆流する可能性があります。こうした場合、逆流しなくてもストーブは燃え渋ります。なぜならストーブは室内の空気を使って薪を燃やし、煙として煙突から排気する一種の排気装置だからです。部屋 の気密性がよいと排気力の強い換気扇に負けて排煙ができず、逆に煙突から外気を送り込む吸気管になってしまいます。
 暖炉のように直接炎や輻射熱を楽しみたいが、暖炉は熱効率が悪いうえに、排煙力がさらに弱い。そこでストーブの台座部分から吸気管を出して屋外の空気をストーブに送り込む構造になっています。もちろんストーブですから全体が熱くなって熱効率も良く、しかし建物に組み込みでもない。
 暖炉のように正面の扉を開放したままで燃やすときは、開放した扉の周囲から屋外の空気がストーブ内に送り込まれる。なぜ「扉の周囲から」かというと、せっかく暖まった室内の空気を使わず、さらに燻りの逆流を抑えるためです。ストーブも暖炉も同じだが、せっかく暖まった室内の空気を薪を燃やすのに使って煙突から屋外に出してしまいます。
 扉を閉じてストーブとして燃やすときは、屋外の空気はいったんストーブの台座の中で暖められてから室内に入ってくる仕組みになっています。


     参考データー  高さ 900  横幅 750  奥行き 650mm   重量 180Kg  煙突径 170mm
                扉は両開きで ガラスいり  暖炉時はスクリーンを置く 
               使用材料   敷板 2.3mm   台座  9mm   底板  12mm+耐火レンガ   
                        側板  6mm    バッフル板  12mm  など   
                 暖房面積    20畳以上
                 設置費用   煙突工事と周囲工事は、使い手の手作り

B 居間に置いた高い足のストーブ
 椅子やソファーを置いた生活では高い位置の熱源がいい。薪を入れたり調整もしやすい。そこで足を高くして長い薪も入れやすいように扉を横につけました。正面はガラス窓になっている。
  このストーブの特徴は、建物の関係で煙突の位置を横後方の隅にしてストーブとは半掛かりにしてあり、その下部の蓋が掃除口になっています。ストーブから直立して屋根を抜いた煙突の掃除は楽で、ストーブの天板も広く使え、配置もコーナーに寄せることができます。
  なお、強い輻射熱から壁を守るために、ついたて型の遮熱板を製作してストーブと壁との間に設置してあります。

   参考データー  高さ 720  横幅 530+灰受け  奥行き 350  重量 120Kg   煙突径 150mm 
              使用材料   底板 9mm   側板 6mmと9mm   天板 9mm  バッフル板  12mmなど
                      遮熱板 薄鋼板+メッシュ
                暖房面積  18畳以上
               設置費用  新築時、周囲工事は工務店と使い手の協力

台所に置いたオーブン付きストーブ  
 日々の暮らしの中で使っているストーブ。8畳位の台所の片隅に設置してある。小さくても、表面積を広げて熱効率を上げるために飾りとしてフィン(放熱羽)をつけてある。台所とつながる廊下や部屋の暖房用であるが、2段になった天板では煮炊きができる。煙突の根本になる上段はオーブンになっていてこの地方の家庭で食される「オヤキ」と呼ばれる焼き餅を作ったり温 めたりするのには最適です。このオーブンと二段となった天板はバッフル板の役割もしている。一般に薪ストーブのオーブンは、熱のコントロールが難しく熾火をうまく使った温度管理には慣れが必要です。でも焼き芋は失敗もなく抜群のお薦めです。
  やはり薪が入れやすいように扉が横に付いているが、横が通路なのでスペースに無駄もない。
  周囲の工事は使い手の手作りだが、ストーブの足が高いので床には熱がほとんど伝わらない。床から浮かせてステンレスを巻いたストーブ台の上に設置してある。周囲の壁は木造なのでやはり空気が流通するように壁から離して薄い不燃板の遮熱板を貼ってある。防火上は少し不安があるが、定期的な点検を行う条件であれば、既設建物への簡単な設置方法となる。
参考データー 高さ 800  横幅 450+灰受け  奥行き 330  重量 90Kg   煙突径 150mm
           使用材料   底板 9mm  側板 6mm  天板 9mm   バッフル板など12mm他
          暖房面積  12畳以上
          設置費用  使い手の手作り 
 

  



D ローボード型オーブン・保温室付きストーブ
 このストーブの炉-火を焚くところは、向かって右側です。小さな炉で柔らかく暖めるために天板は厚さ36mm もある厚い鋼板(重さ150Kg)を使っています。その大きな蓄熱力で小さな炉の少ない薪でじっくりと部屋を暖め、また左側の保温室まで熱を伝えます。中央は内部で後ろと上を炎が通る高温のオーブンです。
 広い天板は、炉の上は熱く左側は温度が低くなり、料理などにあわせて使い分けられます。
 全体の姿勢は低く抑え、部屋全体のローボード・タイプの家具とフロアーに座った生活にあわせてあります。

   考データー  高さ 450  巾 910  奥行き 450  重量 250Kg   煙突径 150mm
              使用材料  底板 9mm  側板 9mm  天板 36mm
               暖房面積  約20畳


E  プチストーブ  気軽なストーブ。6畳・8畳といった普通の部屋で、簡単に置いて使える薪ストーブです。小さくても薪を詰めれば熱量があるので10畳でも大丈夫です。薪も市販の30Cm長が入ります。一人で動かせますから、シーズン・オフには片づけておくことができます。煙突も市販の¢100mm前後が使えます。
  参考データー   高さ 500  巾 220  奥行き 520  重量 約50Kg  煙突径 90mm
              使用材料  底板・側板・天板 6mm   バッフル板 9mm
              暖房面積  約8畳

F  三方にガラス窓の付いたストーブ

  丸みがあって、食堂・リビング・和室、ストーブを囲むどこからも炎が見える。そんなご希望でした。
 当初は円形を考えましたが、曲面耐熱ガラスの費用とそのメンテナンスからこの形になりました。すぐ脇の和室やリビングにあわせて低めの高さ、後方の食堂からもガラス窓が見えるようにして、天板をアールにして丸い縁取りをつけました。左脇の薪置きスペースにあわせて長い薪の入る扉、和室とリビングに向いた大きな二つのガラス窓と食堂に向かったガラス窓。灰取りの楽な引き出し式灰皿。屋根を抜いた煙突の掃除をしやすいように室内煙突の途中とストーブの天板に掃除口があります。
 冬は広い天板で暖かいシチューや鍋料理が楽しみです。

  参考データー  高さ 520   巾 700  奥行き 420   重量 150Kg  煙突径 150mm
             使用材料   底板 9mm+耐火煉瓦  側板 9mm  天板 9mm  バッフル板 12mm
             暖房面積   約24畳
             煙突  室内はシングル  屋根裏から上は断熱ダブル管  トップは角形ルーバー