薪ストーブの用具 

 マニアル時代なのか広告宣伝費がつぎこまれた雑誌情報の影響なのか 薪ストーブを使うためには『専用』の道具が必要だと思い込んでいる人が多い。それに「薪ストーブ用」と銘打ったものは異常に高い。これではお金持ちしか薪ストーブは使えないでしょう。
 でも実際には 「ストーブ用○○ツール」などと名をつけたわざとらしい道具は要らないし身の回りにある物で十分です。
 当舎もオリジナルの薪入れや手道具などを製作しますが、飾り物としてはいいが生活用具としてはあまり意味がありません。
 生活用具として薪ストーブを使うための実践的な薪ストーブ用具を紹介します。
 「何か買わないと気がすまない」 マニアル依存症の方はがっかりするかもしれませんが・・・・・

 手道具
 火掻き棒や火鋏み、スコップなど立派な道具掛けにかけた物が必要だと思っている人がいますが、特にあの大きなものは元来大きな暖炉用のものでチャンバラ遊びには使えても薪ストーブには使えないしガラス窓を割ってしまうのがオチです。
 
 灰取りスコップ火掻き棒の二つで間に合います。 火鋏み−トングのような掴み具ですがストーブでは使い道がありません。重たい薪を掴んで持つことがないですから。

 灰取りスコップ−昔から「十能」と呼ばれている小さなスコップです。写真の物(中央)は100円ショップで売っている物。軽い灰を扱うには軽い物のほうが持った感覚が分かり便利です。
 「100円じゃ 安っぽい!」という人は耐熱塗料スプレーで黒く塗れば左のように「ん千円」に変身します。
 実践的には、灰の取り出しや周囲に落ちた木くずのチリトリだけでなく、ストーブの中の薪の位置を変えたり転がすにもこれ一本で間に合い火掻き棒も要りません。

 火掻き棒−ストーブの中で薪の位置を変えたり灰を寄せたりするのに使います。当舎は使いやすいものを製作してストーブに付属してお渡ししています。
 握りやすく鉄の棒で先が曲がっていれば良いので身の回りの適当なものでも間に合います。 

 刷毛−ストーブ周りのゴミや灰を掃くのに使います。柄の長い箒のような物は使い難く柄の短く幅の広い物が便利です。
 写真は、塗装用のほこり払いに使われる「ラスター刷毛」。ホームセンターなどで500円位でしょう。化繊の毛はダメ。豚毛で毛丈があり毛の厚いものがほこりを逃さず良い。
 荒神ホーキでも良いが毛が荒いので△。

 皮手袋−火傷をしないため扉の開閉やストーブに触れる時と薪を持つのに必要です。
牛床皮背縫いで厚い物でも一双200円前後です。これもホームセンターなどで売っています。汚れるし庭仕事などほかにも使えるので余分に買っても便利です。
 

 灰入れ容器−取った灰を一時的に入れて置くのに使います。金属・陶器などの不燃性であること。ピッタリ閉まる蓋(ただしゴムパッキングなどを使用していない)があること、底が床に密着しない二重底になっていることが必要です。昔からある陶器などの「火消し壷」はいいですね。
 灰は取ったばかりに熱いだけでなく、火が消えて冷えているようにみえても集まると熱が溜まり灰の残り炭が燃え出します。ピッチリと蓋が閉まり空気を遮断し、熱くなっても床に熱を伝えないために底が密着しない二重になっていることが大切です。容器は不燃性の台の上に置き、灰は24時間置いてから処分しましょう。写真は すいがら収集缶。2000円前後。

 その他やメンテナンスに便利なもの

 着火材−チャコールブリック

 バーベキュー用としてひろく売られています。炭の粉を蝋質の厚紙で卵パックのような形に圧縮した物です。1・2粒をちぎって薪の下に置いて火を付ければ簡単に着火が出来ます。
 煤も無く、炭が火種になります。「スターター」などの名前で売られている石油を使うものとは比較にならないほど便利でクリーンです。いろいろい銘柄がありますが1包み200円位で20回分以上使えます。

 ガラス掃除ガラスの煤はアルカリ性の物できれいになります。 軽い汚れなら 灰を濡れ雑巾か新聞紙につけて拭けばとれます。
市販、ネットではIHCモノタロウ  http://ihc.monotaro.com/の洗浄剤パワフルクリーナー 4Lで1520円などが安くてよく落ちます。 強い汚れは薬局のアンモニア水 300円(写真中央)でもとれます。
 頑固な汚れは洗浄剤をペーパータオルなどに浸して貼りつけ、汚れが浮いたところで拭き取ります。


 温度計−無くてもいいのですが せっかく買うなら赤外線放射温度計を奮発しましょう。(同右) 離れたところからレーザーポインターで狙った場所の正確な温度がデジタル測定できるピストル型の温度計です。ストーブだけでなくオーブンの中の肉の温度、低温炭化が心配な天井、壁の表面温度が手軽に測れます。その他 冷凍食品や食品も触れずに測定できます。インターネットなどで工具・測定具で購入できます。8000円位。

 
煙突掃除ブラシ−煙突掃除の必需品ですが、金物屋さんやホームセンターで入手できます。棒は太くて固い高価な物より「山口式」という昔からある1m強の太い針金をネジで繋ぎ足していくものが曲がりにも対応できて便利。一本3-400円位。ブラシは煙突径の物が良いが曲がりがあるときは小さいものも便利。2000円位。当舎は強い毛足のものを特注しています。掃除する時は掃除口にレジ袋などを被せてブラシを通せば煤が袋に収まり汚れません。(同中央)

 ボトルブラシガラス瓶などを洗う家庭用品の柄のついたブラシです。ストーブ内の狭いところの灰や煤を掃除するのに便利です。ブラシが曲がるのが使いやすいでしょう。400円位

 耐熱塗料補修などに使う耐熱塗料はホームセンターなどで市販されているスプレー缶(最初の写真右)でできます。耐熱温度600℃でいろいろなメーカーがあり(1200円位)少しづつ色目が違いますので合うものを選んで。(当舎は指定塗料を製作) 耐熱塗料は防錆効果がありますが、傷む前にメンテナンスすればワィヤーブラシなどでさび落としをしなくてすみます。